社会心理学者で、コロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長であるハイディ・グラント・ハルバーソンさんの著書「やる気が上がる8つのスイッチ」を読みました。
こちらは、子育てにも応用できると思います。
筆者は、すべてのタイプの人に共通するやる気を上げるための処方箋の第一段階として、証明マインドセットから成長マインドセットへ変更するよう述べています。
証明マインドセットを持っているがゆえに起きる不安感、拒絶されることへの恐れ、自分を守ろうとして築く壁は私たちの学ぶ力を阻害します。
証明マインドセットと成長マインドセット
マインドセットとは、考え方の癖、あるいは思考傾向のことです。
- 証明マインドセットを持つ人は「すごい人と思われたい」
- 成長マインドセットを持つ人は「すごい人になりたい」
困難にぶつかったとき、証明マインドセットを持つ人は、不安に押しつぶされてしまうか、あきらめてしまいます。
一方、成長マインドセットを持つ人は困難に直面したときも粘り強く頑張り続けます。なぜなら、時間をかけて成長していくということが大切なのですから、その道ほどで失敗は仕方ないし、困難だって当然あるだろうと考えられるからです。
子どものマインドセットを成長マインドセットにシフトする
ゴールとプロセスを成長マインドセットを使って設定する
子どもに動いてもらいたいときに意識して成長のトリガーワードを使うことで、その場の雰囲気を成長マインドセットに変えていくことができます。
<成長のトリガーワード>
- 学び
- 改善
- 発展
- 成長
- 前進
- 将来的に
失敗をしても大丈夫だと伝える。
失敗は当然起きるものだと伝えます。
さらに一歩進んで、失敗が1つも起きないなんてありえないと伝えてもいいくらいです。
人間は失敗しても大丈夫だと思うと、実際に失敗を犯す確率はとても低くなるのです。
成長マインドセットのロールモデルを示す
成長マインドセットのよき見本になるような人がいれば、彼らがやってきたことだけでなく、その達成とマインドセットがどう関係しているかを話してあげましょう。
ロールモデルは、成功するために一歩一歩前進していくことの大切さを教えてくれるはずです。
正しいフィードバックをする
批判であれ、承認であれ、正しいフィードバックをするためには次のような3つのルールがあります。
- 物事があまり好ましくない方向に進んでいる時には、それを正直に伝えましょう
- 物事がうまくいかないときでも自分を信じることを教えましょう
- たとえうまくいっていても能力を褒めるのは避けるべきです
褒めるのは、子ども自身がコントロールできるものにすべきです。能力ではなく、やり方や工夫、粘り強さ、ポジティブな態度を認めていくのです。
ただし、うまくいかなかったときに努力を認めるのは避けましょう。こんなときには何が足りなかったのかを伝えるなど、ただ事実を伝えるだけでよいのです。
他人と比べるのではなく、子ども自身と比べることも大事です。
成長マインドセットを手に入れたら
すべてのタイプの人に共通するやる気を上げるための処方箋の第一段階として、証明マインドセットから成長マインドセットへ変更します。
第二段階は「必要なスキルと自信を身につける」、第三段階は「力を発揮する場を作る」です。
獲得フォーカスを持つ人と回避フォーカスを持つ人別に対処法が変わります。
成長マインドセットを手に入れたら、次の段階に進みましょう。
詳しくは、【読書感想・書評】やる気が上がる8つのスイッチか「やる気が上がる8つのスイッチ」で。
「やる気が上がる8つのスイッチ」を読んで
「他の子どもと比べない。」「能力ではなく努力をほめる。」などは、育児書によく書いてありますが、失敗したときに努力をほめてはいけないというのは、初めて知りました。
うまくいかなかったときに努力を褒められるというのは、言われた人を惨めな気持ちにさせるだけでなく、目標達成の能力がないのだと痛感させる結果になるという研究もあります。
これからは褒め方に注意しながら子育てをしていきたいと思います。