国立病院機構東京医療センター形成外科医長である落合博子さんの著書「美容常識の9割はウソ」を読みました。
「美容常識の9割はウソ」とは
再生医療のスペシャリストが、科学的エビデンスのあるスキンケア方法を紹介してくれる本です。
本書は下記の4部構成になっており、シンプルケアを推奨しています。
- 肌についての基礎知識
- 美容情報について
- 美容成分について
- 具体的なケア方法について
筆者の伝えたいメッセージ
本書でご紹介したシンプルケアをつづけて、みなさんが本来の肌機能を取り戻し、自分の肌に自信をもれるようになることを、心から願っています。
「美容常識の9割はウソ」から学んだこと
光老化を防ぐ、紫外線予防
「光老化」は加齢に比例しない
光老化とは、加齢による「自然老化」とは違うもので、紫外線を長年浴び続けることによって引き起こされる肌の老化のこと。
加齢による老化では皮膚が薄くなるのに対し、光老化は子どもの頃から浴びた太陽光線の総量が関係し、紫外線への長年の防御反応の結果、皮膚が厚くゴワゴワになり、色も濃くなります。
また、光老化では真皮の弾性繊維が破壊されるため、皮膚のハリがなくなり、しわやたるみができます。
浴びた量が多いほど、肌の色がくすんだり、シミ、しわ、たるみが生じやすくなります。
UV-AとUV-Bの違い
UV-Bは、肌の浅いところで炎症を起こしやすいので、水膨れになったり、強い炎症反応が出て色素沈着が残りやすいのが特徴です。
UV-Aには、炎症を起こしたり肌を黒くする力はさほどありません。しかし、UV-Bより波長が長く、肌の奥(=真皮深層)まで到達してしまうため、長期的に浴びると光老化の原因にもなります。
UV-Aは雲や窓ガラスなどを通り抜ける性質もあるので、曇りの日でも気をつける必要があります。
「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」
現在は、紫外線を防御する主要成分として、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤が使われています。この2つのどちらかが単独で使われているか、組み合わせて原料にしているかは、製品によってまちまちです。
紫外線吸収剤は、主にUV-Bに効果を発揮します。UV-Bを吸収して熱エネルギーに変換して排出することで、紫外線からの影響を防御します。
強い遮断力を必要とする場合は、紫外線吸収剤入りの方が効果的ですが、紫外線を吸収して化学反応を起こすので、肌が弱いとかぶれる可能性があります。ただ、かぶれなければ、紫外線吸収剤を使うこと自体には何の問題もありません。
紫外線散乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛が主な原料で、UV-B、UV-Aの双方に効果があります。金属成分の小さな粒子が、光を跳ね返すことで遮断するのです。
SPFとPA
SPFは、”Sun Protection Factor”の略で、UV-Bに対する防御効果を示します。
そして、SPFの数値が高ければ高いほど良いと思われていますが、実はそうでもありません。
SPF15以上になると、紫外線の防御率はほとんど変わりません。
逆に、製品に「SPF50」と表示するためには紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を大量に使う必要があるため、SPFの数値が高いほど、肌の負担は増えることになります。
PAは、”Protection grade of UVA”の略で、UV-Aに対する防御効果がどれくらいあるかを意味します。
「+」~「++++」の4段階で、「+」が多いほど効果が高いとされていますが、日本独自の分類評価だというのもその特徴。海外製品には、この「+」表記はありません。
日焼け止めは「こまめに塗る」を意識して
紫外線防止の効果をしっかり得るためには、「どの製品を選ぶか」よりも、実は「こまめに塗ること」が大切です。
表記の量よりも多めに、たっぷりと均等に、こまめに重ねづけ、を意識してください。屋外で過ごすなら2~3時間ごとが基本。肌にすり込むのではなく、のせるようにつけると、より効果的です。
ちなみに、アメリカのFDAでは、SPF15の日焼け止めを、日に当たる15から30分前につけること、2時間ごとに塗り足すこと、そして水に入る場合はさらにこまめに塗ることを推奨しています。
肌は「触らない」ほうがいい
摩擦によって生じてしまった黒ずみを消し去るには、触らずに待つしかありません。
皮膚を再生するターンオーバーは約6週間。そのターンオーバーを助ける最も簡単な方法が「触らないこと」なのです。
肝斑はホルモンの乱れが影響しているといわれますが、最近では肌への摩擦が主な原因だと考えられています。
治療方法は、やはり触らないこと。できるだけ刺激を避けて、6週間じっと我慢すると改善の兆しが見えてきます。
肌は摩擦に弱いので、触り続けると硬くなり、また刺激は黒ずみを作ります。
肌荒れ・乾燥肌は「洗いすぎ」が原因
日常的に乾燥肌や肌荒れに悩む方が今とても増えていますが、その大きな原因のひとつが、じつは「洗いすぎ」です。
肌をごしごし洗いすぎてしまうと、皮脂や皮膚常在菌が減り、皮膚構造が傷ついてしまいます。
過剰な洗浄によって、肌の乾燥や湿疹、細菌感染、アレルギーのリスクが高まることも、臨床研究で確認されています。
シミ対策でできるのはひたすら「予防」
一度できてしまったシミはそう簡単には消えません。
特に老人性色素斑は、なかなか薄くなりません。本格的に消すためには、レーザー治療が必要になります。
何より大切なのは、これ以上シミを増やさないこと。
そのためにすぐ出来て、効果が実証されているのは紫外線対策と摩擦を防ぐこと。
紫外線対策に関しては、日焼け止めを1年を通して塗ることが大切です。
筆者おすすめのスキンケア
- よく泡立てた石鹸の泡で優しく洗顔
- 皮脂や保湿剤、クリームなどのうち1剤で保護
筆者のおすすめは、美容液かクリームのいずれか1点のみを使うスキンケア。化粧水は原則必要ありません。
肌は「洗いすぎない」。目に見える汚れがあるときは石けんを使いますが、普段は水やぬるま湯ですすぐ程度でも、実は充分なのです。
「美容常識の9割はウソ」を読んで
肌はできるだけ「触らない」、毎日かならず日焼け止めを塗ることを実践しようと思いました。
筆者のおすすめのスキンケア、よく泡立てた石鹸の泡で優しく洗顔し、クリームなど1剤で保護は、偶然にもすでに実践していたので、引き続き続けます。
本書には紹介したほかにも、シリコンシャンプーには害がないなど、科学的なエビデンスに基づいた情報がたくさん載っていて、とても勉強になりました。
ご興味を持たれた方は、本書をぜひ読んでみてください。
|