中学受験「伸学会」代表である菊池洋匡さんの著書「小学生の勉強は習慣が9割」を読みました。
「小学生の勉強は習慣が9割」とは
自分の行動をコントロールし、何度もくり返すうちに習慣に結び付ける簡単な方法を、シンプルにわかりやすく解説しています。
筆者の伝えたいメッセージ
本書がお伝えする習慣化テクニックを使えば、努力が苦手な性格の子でも、努力する習慣を身につけることができます。
「小学生の勉強は習慣が9割」から学んだこと
達成を引き寄せる目標の立て方の「5つのルール」
目標の立て方には5つのルールがあります。
- 具体的
- 計測できる
- 関連性がある
- 期限を決める
- 「これならできる」と思える内容にする
行動目標は「具体的」で「計測できる」ものにする
「〇月の模試で偏差値〇〇」というのは、結果目標と呼ばれます。結果目標を決めるとやる気は高まります。
しかし、「何をやったらよいか」が決まらないと、結局、人は動けません。
結果目標を達成するための行動目標(学習計画)を立てる必要があります。
行動目標とは「具体的」で「計測できる」ものでなければなりません。
× 算数のテキストの第〇回を頑張る
〇 算数のテキストの第〇回の問題を3ページ解く
なお、「○○しない」といった目標設定よりも、「○○する」という目標設定にした方が、目標達成の確率が上がることが分かっています。
関連性がある目標にする
先に目的を確認し、その次にそれにつながる行動は何かを考えるというステップを踏むことが効果的です。
効率の悪い勉強法をしているのに勉強したつもりになっているというのは問題です。
「ただテキストを読むだけ」とは、「テキストに蛍光ペンで線を引く」といった勉強は、効率が悪い学習法であることが科学的に実証されています。
どんな勉強のやり方が効果的なのかは、子どもにちゃんと教えてあげる必要があります。
成績アップや志望校合格といった成果につながる行動は何かを、子どもと一緒に確認してから、それを習慣化させていきましょう。
期限を決める
「先延ばしにしてしまって、結局やらなかった」という事態を防止するためには、「いつそれをするのか」を明確に決めることが効果的です。
「これならできる」と思える内容にする
その子にとって、簡単ではなく、難しすぎもしない、今の自分の実力よりちょっと背伸びくらいの負荷をかけ続けることが、最短最速で成長するための秘訣です。
また、モチベーションの観点からも、「これならできそう」と本人が思えることが大事になります。
やる気のスイッチを作る「if-then プランニング」
「if-then プランニング」のやり方は実にシンプルで、「○○になったら□□する」と決めるだけです。
木曜日の17時になったら、算数の宿題を始める
のようなプランです。
このままでも十分効果はあるのですが、以下のようにできるだけ詳しくプランニングすると、よりいっそう効果が大きくなります。
木曜日の17時になったら、自分の部屋から算数のテキストとノートを持ってきて、リビングで算数の宿題を始める。図や式をていねいに書きながら取り組む。
あらかじめ詳しく計画しておくと、脳は「タスクに取り組む時間」を確実にとらえ、どのような行動を取るかについて迷うことなくスムーズに行動を実行できるようになります。
習慣化を加速させる「頻度」
習慣化を加速させるために最も重要な要素は、頻度です。
歯磨きや入浴のように毎日やることに対しては、心理的な抵抗をあまり感じません。それに対して、時々やることに対しては面倒くささを感じます。
勉強でもそれは同じです。毎日勉強するほうが、週に1度勉強するよりも楽なのです。
少量でもいいので、毎日勉強すると習慣化しやすい。
宿題を1日でまとめて片づけるようなやり方はもったいない。できれば毎日、少なくとも週に4日以上、少しずつ勉強するようにした方が、勉強を楽しく継続できるでしょう。
目標達成の邪魔になる「誘惑との戦い方」
誘惑に負けない最も効果的な戦略は「戦わずして勝つ」ことです。
例えば、職場でお菓子を机の上に置いておくか、引き出しの中にしまっておく亜で、食べてしまう量は3倍くらいに代わるそうです。面倒でも「引き出しにしまう」ことが、誘惑に「戦わずして勝つ」ために効果的なのです。
目標達成のために増やしたい行動があったら、その行動をしやすいようにハードルを下げましょう。
逆に、減らしたい行動に対しては、ハードルを上げましょう。
そして、誘惑に負けないための次善の策は、誘惑に直面してしまった時の対処法を、「if-then プランニング」で決めておくことです。
誘惑に直面した時に「どうしようか?」と考えると、誘惑に負けてしまうことが多くなります。自分にとって理想的な行動を先に決めておき、その通りに実行することに集中すると、誘惑に勝てるチャンスが高まります。
例えば、「リビングに行ったときに家族がテレビを見ていても、自分は一緒に見ないで部屋に戻って勉強を続ける」といったことを事前に決めておくのです。
これら2つの戦略を使えば、誘惑に負けてしまう確率をかなり減らせるでしょう。
「小さなご褒美作戦」が習慣化に効く
ご褒美を与えることや、ほめたり叱ったりすることで、子どもの考えや感情をコントロールするのはなるべく避けるべきだ。それに対して、本人の考えや感情に沿った行動を実行できるようにするためのサポートにはご褒美は使っても構わない
ご褒美の効果的な使い方
本人が勉強に対してやる気がないのに、ご褒美で釣って勉強させるのは良くありません。「勉強しなかったらゲームを没収」のように、罰で脅すのはなおさらです。
「本人も志望校に合格するために勉強しようと思っているけど、なかなか気分が乗らない」というような時が、ご褒美が大活躍する場面です。
ただ、勉強に対してやる気がない状態の時、よくないとわかりつつもご褒美で釣らざるを得ないこともあるでしょう。そうした場合には、ご褒美目当てに勉強している間に、勉強の楽しさややりがいに気付くように誘導して、後者の状態にしていきましょう。
ご褒美を上手に使うための3つの心得
ご褒美を上手に使うための心得は3つあります。
- ご褒美は永遠に出し続けるつもりでいること
- ご褒美は素早さが大事
- ご褒美は頻度が大事
心得①ご褒美は永遠に出し続けるつもりでいること
子どもにご褒美を出すときは、ずっとご褒美を出すつもりでいてください。
勉強が習慣になり、苦も無く行動できるようになったとしても、その習慣を続けるべき理由が本人の中になければ、やめてしまうことも十分考えられます。
ですから、3年経っても5年経っても、子どもがご褒美目当てに頑張る状況が続くかもしれません。そうなってもいいつもりで準備をしておきましょう。
心得②ご褒美は素早さが大事
遠くになるメリットは、価値が下がって感じます。逆に、行動してすぐにご褒美があれば、それはとても価値が高く感じられます。勉強している「まさにそのとき」に優しい言葉・応援の言葉をかけられたりすると、最もやる気につながります。
「まさにそのとき」の次によいのは「行動した直後」です。ご褒美を上げるならこの時がよい。
すぐにもらえるご褒美は、小さなものでも価値が大きく感じられます。
心得③ご褒美は頻度が大事
勉強を習慣にするためには、何度もくり返すことが必要です。何度もくり返すためは、その都度その都度、ご褒美をあげられるのがベスト。
「1週間の目標を達成したらご褒美」よりも、「1日の目標を達成したらご褒美×7」の方が効果は大きくなります。
ずっとあげ続けるつもりで、小さなご褒美を、可能な限りすぐに、何度も何度もあげましょう。
「小学生の勉強は習慣が9割」を読んで
研究結果に基づいた勉強の習慣化の方法がたくさんしょうかいされていて、とても勉強になりました。
特に、ご褒美のあげ方が参考になりました。
本書には子どもに勉強の習慣をつけさせる方法がたくさん載っているので、ご興味を持たれた方は、ぜひ読んでみてください。