【読書感想・書評】「やる気脳」を育てる~8歳までにワーキングメモリを鍛えよう

脳科学者である澤口俊之さんの著書『「やる気脳」を育てる』を読みました。




『「やる気脳」を育てる』とは

子どもの教育に関するエッセンスを「人間性知能HQ」を中心にしつつも幅広く、やさしく解説された本です。



筆者が伝えたいこと

人生において幼少期ほど重要な時期はありません。これは、8歳ころまでに脳がすごい勢いで発達することからみてもあきらかです。幼少期での教育や環境は、お子さんの生涯にわたって影響を及ぼすのです。そのため、幼少期での教育こそ慎重かつ科学的であるべきです。



『「やる気脳」を育てる』から学んだこと

脳は未来志向性を持っている

脳は未来に目的をもって生きる「未来志向性」を持っており、その目的のために努力する能力が備わっている。


  • 将来に向けた目的、展望、計画性
  • 高度な思考(問題設定能力、問題解決能力)
  • 個性、主体性、独創性
  • 好奇心、探求心
  • やる気、意志力、集中力、注意力


IQが高いけどHQが低いという人は、「勉強はできるけど、仕事や社会生活がうまくいかない…」


HQが発達した人は、「学力が高くて社会的」になる。



<HQがよく発達した人の特徴>


  • 目的を持ち、未来志向的で計画的
  • 頭(地頭)がよく、問題解決力が高い
  • 個性的で、独創的
  • 理性的で、協調的、利他主義
  • 説得や交渉がうまい
  • 優しくて、思いやりがある
  • 人間性が豊かで、社会的に成功している
  • 良好な恋愛や結婚ができている
  • 病気にかかりにくく、長生きする


前頭前野を育てるには、努力することをほめる

未来志向的行動力と社会関係力を司る前頭前野は、それなりの努力をしなければ、発達しない。


小さな目標に向かって、何らかの努力を始めると、前頭前野は育ち始める。


その際のコツは、努力することをほめること。


努力することをほめること、あるいは誰かから褒められることで、努力するクセが自ずと身につき、「夢や目的に向かって努力する」という姿勢が身につく。



乳児脳は特別

0~2歳の乳児期には「母子の良好な関係」が重要。


乳児期には、母子密着型育児をしていれば、それだけで十分。


乳児期に児童期や青年期での教育と似た教育をすることは不適切。有害になりかねない。



子どもにいちばん必要な能力は「ワーキングメモリ」の育成

ワーキングメモリとは「ある状況に置いて、適切に判断・行動する目的のために使われる脳機能」


<ワーキングメモリが働く過程>


  1. 状況に応じて意味のある情報を外界や記憶から選択する
  2. 選択した情報をキープしつつ操作する
  3. 情報操作から「答え(判断や行動計画など)」を導く
  4. 答えに応じて脳をコントロールする


ワーキングメモリを伸ばす教育

8歳までにワーキングメモリ能力を使う読み、書き、そろばんなどをさせることが効果をあげる。


ピアノのけいこで一般知能gが向上することが証明されているので、ピアノのけいこを幼児期からすることもおすすめ。



そろばんは前頭前野を活性化する

ごく簡単なそろばんでも前頭前野は活性化する。


例えば3ケタの計算でも、前頭前野は活性化する。


5ケタの計算ではさらに活性化しますが、実験で使ったのは「排開添入(繰り上げ、繰り下げ)」がない計算。


「ごく簡単なそろばん」でもg用の神経システムが活性化する。


指を使って珠を道具的に動かして計算する、という行為自体が幼児のHQを全体的に向上させる。



8歳までにドーパミンの「繰り返し効果」を使え

ドーパミンは「やる気」を増強する役割を持つ。


何かの目的に向かった時、達成感や報酬が得られると、ドーパミンが分泌される。


すると、「やる気」が出て、その目的にさらに向かうようになる。


そして、目的を達成すれば、またドーパミンが分泌され…。


この過程が繰り返されることで、HQを筆頭とした脳機能がらせん状に向上していく。



ドーパミン系は8歳ごろの幼少期に最もよく活動する。



例えば、子どもの学力を伸ばしたいとき、テストの成績が少しでも上がったら、その成績が親の望む点数でないとしても、とにかくほめてあげる。


そして、次のテストでさらに上がったらまたほめる。


この繰り返しで、学力は確実に伸びるはず。



夢を持たせる

夢を持ち、その夢を実現するべく努力するというのが、人間の大きな本質のひとつ。


「夢」は基本的にふたつに分けることができる。


ひとつは未来に向けた目標。もうひとつは、目標を達成したら、報酬をもらえるだろうという予測。


「この夢を実現したらどんなに楽しいだろうと」報酬を予測することも、実は「夢」である。


「夢」はまず、ひとつ持つこと。そして達成できる夢を持つことが大切。

ひとつの夢が達成したからそこで終わりではなく、すぐに次の夢を持てる、抱けることが重要。


達成した「夢」を基盤に、次から次へと進める子どもこそ、将来、成功するタイプ。


夢は、書いておくと80%実現する

子どもの好みに応じてなるべく具体的な夢を持たせる。


10年ほど先に叶えたい夢が最適。(子どもが幼い場合は、達成できるものに)


そして、その夢を日記やノートなどに書き留めるように促す。


「夢を書くこと」は、夢をかなえるにあたって最も基本的かつ重要なこと。


書くことで言語システムに大きな負荷をかけることで、脳内コントロールが強まる。


そのコントロールが「夢の実現」という未来志向性と結びつけば、未来志向的に脳を強くコントロールするという状態になる。


この状態が維持できれば、とても重要な脳内システムが生まれ、夢が実現する可能性が高まる。


段階的な目標を書いて夢に近づく

10年先の夢を書くことに加えて、その夢に向けた段階的な目標を書くことも重要。


3年先、1年先、3カ月先、1カ月先、1週間先、3日先、今日・・・


手帳や日記を活用し、目標を書いて、それを実行できたかどうかをチェックする。


子どもが自分でやってもいいし、お母さんが手を貸してあげてもいい。


例えば、「今日の目標」を、朝起きた時に書いてそれがどの程度達成できたかを、寝る前にチェックするという方法。


その他のチェックは、週単位、月単位、年単位で行ってみると、書いた当時の子どもの気持ちや考えを再確認できたり、初志貫徹の手助けにもなる。


こうした方法を続けることで、言語によって脳を未来志向的にコントロールするという「クセ」がつくはず。



<心がけると良い3つのアドバイス>


①ドーデモイイことには執着しない


壁にぶつかったら、気晴らしを兼ねて色々なことにチャレンジさせてあげる。


ただし、「夢」と関係ないことに執着しないよう注意する。


ドーデモイイことをあれこれするのは柔軟性を高めるが、これらに執着してしまうと、最も執着すべき「夢」が希薄になり、脱線しかねない。



②夢を強くイメージする


子どもの「夢」が実現した状況をイメージし、楽しい未来を親子で語り合う。


「夢」がかなった状況やその喜びを強くイメージすると、ドーパミンが分泌され、気分は向上しやる気が出てくる。


そして、再び夢に向かって努力を開始することになる。


これは挫折を払拭し、努力を継続させることができる方法。



③努力したことをほめる


他人からほめられることや、自分で自分をほめることは、未来志向的な行動をする上で重要。


ほめられることは「報酬」ですから、未来での報酬を期待して努力しようとするから。


ただし、ほめる中身が重要。何か意味のあることを達成したときにほめるようにする。


例えば、子どもがテストでよい点数を取ってきた時、運動でも習字でも、絵画などでも何か結果を出してきた時がほめどき。


その際に、能力をほめることはほとんど無意味で、努力したことをほめることが、その後の行動や意識を大きく左右する。


努力したことをほめると、未来志向性行動力が高まり、将来の目標に向かって努力するクセが身につき、目標達成の可能性も高まる。



小さな成功体験を繰り返すと、決断力がつく

子どもは、小さな成功体験を何度も繰り返した方がよい。子どもはそれによって自信を持てる。


子どもにいきなり大きな期待や望みを持たせず、押し付けず、小さなことからコツコツ一緒に歩んでいける親が素敵な親。



人間は、ローリスク、ローリターンを繰り返した方が決断力がつくことも分かっている。


失敗したときは、公開して、「反省」する、ということがとても重要。



小さな成功体験をさせるのに一番よい方法は、「HQ育成サイクル」。


「目的の設定→努力→目的の達成」というサイクルを、レベルをあげながら続けていくこと。


このサイクルで、HQの主要な要素である未来志向的行動力が総合的に育成できる。


HQ育成サイクルには「やる気」や「努力」、「根性」が大切になる。


このサイクルによって「根性」も育成できる。


HQ育成サイクルでは目的達成に伴う報酬によってドーパミン系が活動する。


ドーパミン系の働きが最も高い幼少期に「ドーパミン系の活性化が伴ったHQ育成サイクル」を形成させ良好に回転させることは、未来志向的行動力の育成にとって非常に重要になる。



幼少期で重要なことは目的自体ではなく、HQ育成サイクルを経験すること。


HQ育成サイクルの駆動力は報酬と未来志向的な「報酬の予測」なので、もくてきは達成可能なものにすべき。幼児期は特にそう。



過保護・過干渉は「思春期挫折症候群」の原因に

「思春期挫折症候群」の特徴は、思考と判断能力の低下、自己中心的・責任転嫁、無気力、刹那的、憂鬱、そして被害妄想など。


より具体的な行動障害としては、ルーズな生活や親への反抗・暴力、校内暴力や登校拒否、引きこもり、非行などが見られ、最悪の場合自殺に至ることもある。


母子密着型育児は過保護・過干渉の温床で、幼児期以降の母子密着型育児は思春期挫折症候群に直結しかねない。


ただし、本来の母子密着型育児は6歳くらいまでは重要。


問題は7歳以降。


母親が過保護・過干渉で、母親が子どもの先回りをして判断し、あらゆることのお膳立てをし続けると、


母子のそうした関係からはみ出す年齢に達した思春期以降、大変大きな問題がおこってしまう。


つまり。HQの発達が年齢に追いつかないため、社会関係、主体性、独自性に欠けた思春期の少年が出現することになる。



この育児で問題が顕在化するのは思春期以降で、それまでは「いい子」であるケースが多い。


母親の言う通りに行動し、主体性も独自性もないのですから、小さいうちは「いい子」に見えるので、何の問題意識もなく、母子密着型育児にハマってしまう。



『「やる気脳」を育てる』を読んで

8歳までは読み、書き、ピアノのレッスンを重視して、ワーキングメモリを鍛えようと思いました。
簡単なそろばんにもチャレンジてみたいと思います。


そして、つい結果をほめてしまいがちですが、努力をほめるようにしようと改めて強く思いました。


6歳までは母子密着育児、それ以降は少し離れられるよう努力したいと思います。


娘には、夢を持ち叶えられる人になってもらいたいものです。





SPONSORED LINK


 

2020年6月12日 カテゴリ:[育児, 読書感想・書評]

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ